色のない世界でただ君を見つめていたかった
中庭
真冬のこの季節に外に出るのは気が引けたが、気まずい雰囲気をどうにかするのにうってつけの場所だった。
「さな寒くない?」
「私は大丈夫だけどいおは平気なの?明らかに寒そうな格好だけど。。」
「俺は平気」
とは言ったが正直今すぐ病室に帰りたいくらいには寒い
それに体力も落ちているせいか眩暈までする
「ならよかった、けどどうしてここに来たの?」
「…なんか病室にいると息が詰まるような感じがしたから、
なんとなく?」
「何それ笑
まだ何かあるのかと思って身構えちゃったじゃん」
と言ってさなの顔が緩んだ
「俺さなの笑顔好きだな」
思わず言葉が出ていた
「…え?」
「あ、いやなんでもない!」
「…?わかった、?」
その時さなに聞こえなくてよかったと安心していた俺だったが、
後々後悔することになるなんてこの時は考えてもみなかった