悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
 名前を呼んでと言うくせに口に出来ないほど荒々しく口付けられる。
 本当に初めてなのかと疑いたくなるくらい自然に彼の舌が私の舌へと絡められ、くちゅくちゅという淫靡な音が漏れ聞こえゾクリとした。

 熱い舌に翻弄され、思考が痺れて働かない。
 呼吸すらも支配されているような錯覚に陥り、そしてそれが私の奥を疼かせ下腹部に熱を孕む。

“苦しいのに気持ちいい”

 どうりで夜以外でも口付けるはずだと納得する。
 暫しの時間夢中になっていると、そっと彼の唇が離れ、それを名残惜しく感じるように互いの唇を繋ぐ透明の橋が伝っていた。

 はぁ、と熱っぽい吐息を漏らしルミール様が私の肩へと顔を埋めつつぎゅっと抱きしめる。
 そんな彼の髪を撫でるながら私も抱きしめ返した私は、彼の頭に自身の顔を摺り寄せ預けた。

「……これが、口付けか。恐ろしいな」
「そうで――えっ、恐ろしい?」

 告げられた言葉に驚き聞き返すと、相変わらず私の肩に顔を埋めながらルミール様が再び口を開いた。

「あっという間に夢中になった。サシャの柔らかさに頭が沸騰しそうだ」
「ッ」
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