悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
 ふふん、と得意気に笑ったルミール様は、その宣言通り私の服を難なく脱がす。

“この服の脱がせ方を覚えたって仕方ないのに”

 これは庶民の服。
 きっと彼の六番目の花嫁は着ない服。

 だがその事実は指摘しなかった。
 娼婦ではない、私の女の部分が、彼に脱がされることを悦んでいたから。

「あぁ、本当に柔らかいな。いくらでも揉んでいられそうだ」
「最初は触れることすら躊躇っていたのに」
「良さを教えたのはサシャだろう」

 ふっと互いに小さく吹き出し再び唇が軽く重なったと思ったら、ルミール様の口付けが顎へ滑り首に舌が這わされる。
 そのまま鎖骨を甘噛みされ、胸の上部に強く吸い付かれるとチリッとした鋭い痛みが私に走り、痕が残された。

“きっとこの痕が消える頃にはもう私のことは忘れてしまっているわね”

 鬱血痕の痛みよりも胸の奥がズキズキと痛い。
 だがそのことに気付かれないようなるべくゆったりとした手つきで彼の髪を撫でた私は、くすぐるように指先で彼のうなじにも触れた。

「ッ」

 つつ、と首筋をなぞるとルミール様がピクッと反応し息を詰める。
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