悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
 もうこれ以上は挿入らないのに、もっと深くと更に奥までグリグリと押し付けられればその快感で視界がチカチカとする。

 もう一度ギリギリまで抜かれた剛直が再び私を貫いた時、視界の奥に舞う星が一気に散った。

「――ッ!」
「く、サシャ……っ」
「あ、あぁあ……!」

 私のナカで彼のモノがびゅくりと震え、熱いものがじわりと広がる。
 脱力したようにはぁはぁと荒い呼吸のルミール様が私の体に体重をかけると、しっとりと汗ばんだその重さに胸がきゅうっと締め付けられた。
 

“――これでこの仕事も完遂だわ”

 元々ほぼ身一つで来たので、明日の朝にでもノースィルへ帰れるだろう。
 思えば長いようで短い、あっという間な時間だった。

「これ以上長引かなくて良かったわ」

 ポツリと溢れたその呟きはルミール様には聞こえなかったのだろう。
 何も反応が無かったことに安堵と、そして僅かな寂しさを感じながらゆっくりと目を閉じた。
 

 ここにいる時間が長くなれば長くなるほど、心が締め付けられただろう。
 胸がズキリと痛むのは、きっと破瓜の痛みと混同してしまっているからだ。
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