悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
「体調は寝不足だが、サシャを抱く体力はあるから大丈夫だ」
「抱……っ」

 しれっと言われた言葉に動揺しつつ、私は頭を抱える。

“というか、そこまでして毎日通う理由ってなんなのかしら”

 公爵家にいた時は毎日ではなかったのに、娼館に戻ったら突然毎日になった理由がわからない。
 だが、こんな生活を続ければそのうち体を壊すだろう。
 睡眠という大事なものを排除して体がもつはずがないからだ。

 はぁ、と私はため息混じりに口を開く。

「そもそも毎日通う必要はありません。練習のし過ぎで体を壊すことが一番よくな……」
「それはダメだ!」
「へっ?」

 花を活け終わった彼が突然焦ったように振り返りギョッとする。

「俺が買わなきゃ他の客が買うんだろう!? サシャが他の人と、と思うとこの辺りがひどく痛むんだ」
「え……、まさかそれで突然毎日の連戦を!?」

 ぎゅうっと胸を押さえたルミール様にぽかんとしてしまう。
 
“胸が痛いって、それ……”

 言われた言葉の意味を遅れて理解し、じわじわと顔に熱が集まる。
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