悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
“そ、そんな目で見られるとちょっと恥ずかしいんだけど”

 だがもう言ってしまったことは取り下げられないので、私の心が羞恥心に負ける前にと一気に口にした。

「私はルミール様が心配で寝て欲しいし、ルミール様は私が他のお客様のところに行かないか心配なんですよね? だったら私の膝で寝て拘束しておけばいいんじゃないかと思います!」
「な、なるほど。これが以前言っていた縛る……いや、拘束プレイということか!」

“違うけど”

 内心そうツッコミつつ、だが納得した彼がごろんと私の膝に頭を乗せて横になったのでそれ以上は口を開かなかった。

 彼の黒髪をゆったりと撫でる。
 ずしりと膝に感じる重さが心地よく、私もなんだか満たされた気持ちになった。

“もう寝ちゃったのね”

 やはり限界近かったのだろう。
 すやすやと静かな寝息を聞きながら、彼の睫毛の長さを再確認したりしつつ私は穏やかな夜を過ごしたのだった。

 その翌日のことだった。
 
「サシャ、仕事には慣れたかい?」
「慣れた……けど……」
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