悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
顔色を理由に今晩休みを貰った私は、女将の好意に甘えることにしたのだ。
私室の方は元々住んでいただけあり、何度もルミール様が通ってくれたあの部屋とは違って家具も装飾も揃っている。
けれどこの部屋には彼がいつも手土産で持ってきてくれた公爵家で育てた花たちはなく、それだけで部屋全体が色褪せて見えた。
――ここでなら、泣いてもいい。
誰も見ていない、この色褪せた世界で私は何故泣いているのかもわからずベッドに潜り込みただ涙を流した。
テーブルクロスにも雨避けにもなるあのショールとは違い、真っ白なシーツが私の涙を受け止め滲んでいく。
「さようなら」
私の初恋。
今だけはこのシーツのように私の恋を受け止め、明日からはあのショールのように涙なんて最初から流してなかったように振る舞うから。
今だけは、娼婦ではなくただのサシャとして――
私室の方は元々住んでいただけあり、何度もルミール様が通ってくれたあの部屋とは違って家具も装飾も揃っている。
けれどこの部屋には彼がいつも手土産で持ってきてくれた公爵家で育てた花たちはなく、それだけで部屋全体が色褪せて見えた。
――ここでなら、泣いてもいい。
誰も見ていない、この色褪せた世界で私は何故泣いているのかもわからずベッドに潜り込みただ涙を流した。
テーブルクロスにも雨避けにもなるあのショールとは違い、真っ白なシーツが私の涙を受け止め滲んでいく。
「さようなら」
私の初恋。
今だけはこのシーツのように私の恋を受け止め、明日からはあのショールのように涙なんて最初から流してなかったように振る舞うから。
今だけは、娼婦ではなくただのサシャとして――