悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~

3.まずはお試し実践からで

“どうりで娼婦を探しているわけよ!”

 そして私を救世主と呼んだ侍女たちの言葉の意味も遅れて理解する。
 つまり『出来ない』原因を探り、『出来る』ように練習を積みたいということなのだ。

 貴族令嬢、それも処女のご令嬢相手に教わりリードして欲しいというのはあまりにも年上の、それも身分もあり世間から『悪徳公爵』なんて呼ばれる彼には荷が重い。 
 対して相手が娼婦ならばある程度のことを知識として知っているし、閨の実技講師として教えを乞うのは最適だ。
 プロだからこその観点で原因を見極め対策を取りアドバイスも期待できる。

 それに娼婦の世界は秘密保持が原則。
 行為の最中で知った情報を噂で流すなど言語道断、信用問題に関わるからだ。

“私が娼婦である以上公爵様の秘密と尊厳が守られるということね”

 だが、それでもひとつ、まだ気になることがあった。

「私が処女である必要はないのでは……?」

 だってそうだろう。学び、技術を上げたいのであれば経験豊富な娼婦の方がいいに決まっているからだ。

 そんな私に小さくため息を吐く公爵様は、どこか項垂れたようにボスンとベッドに腰掛ける。
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