悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
22.確信を持って
「恋、か」
その言葉を噛みしめるように呟いたルミール様。
振り向かれないその背中をただ眺めていた私は、小さく息をついて彼に背中を向け扉の無くなった部屋へと戻る。
流石にこれでは今日の仕事は出来そうにない。
それどころか、勝手にお客様へ懸想してこんな騒ぎを起こす娼婦を買おうと思う客なんてもういないかもしれない。
娼婦とは夢を与える存在なのだ。
一夜の夢で儚く散るからこそいいのであって、夢が現実に浸食してくるなど恐怖しかないだろう。
だから――
「サシャ」
優しく名を呼ばれ、背中からぎゅっと回って来たたくましい腕にドキリとする。
彼の体が私を包み、耳元でもう一度名を呼ばれると、ゾクリとした快感が私の体を駆け巡った。
「サシャには何度もいろんなことを教わったな」
「そ、れが、私の仕事でしたから」
何故抱きしめられているのかわからず、混乱する私はしどろもどろになりながらなんとかそれだけを返した。
「……身請けは嫌だと言っていたな」
「ッ」
彼の言葉に息を呑む。
その言葉を噛みしめるように呟いたルミール様。
振り向かれないその背中をただ眺めていた私は、小さく息をついて彼に背中を向け扉の無くなった部屋へと戻る。
流石にこれでは今日の仕事は出来そうにない。
それどころか、勝手にお客様へ懸想してこんな騒ぎを起こす娼婦を買おうと思う客なんてもういないかもしれない。
娼婦とは夢を与える存在なのだ。
一夜の夢で儚く散るからこそいいのであって、夢が現実に浸食してくるなど恐怖しかないだろう。
だから――
「サシャ」
優しく名を呼ばれ、背中からぎゅっと回って来たたくましい腕にドキリとする。
彼の体が私を包み、耳元でもう一度名を呼ばれると、ゾクリとした快感が私の体を駆け巡った。
「サシャには何度もいろんなことを教わったな」
「そ、れが、私の仕事でしたから」
何故抱きしめられているのかわからず、混乱する私はしどろもどろになりながらなんとかそれだけを返した。
「……身請けは嫌だと言っていたな」
「ッ」
彼の言葉に息を呑む。