悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
言った。私は彼に身請けなんてされたくない。一生好きな人の『練習相手』をする人生なんて耐えられないから。
「ならば身請けはしない」
嫌だと言ったのは自分なのに、そうはっきりと告げられ傷付く自分に自嘲する。
“本当、私って馬鹿なんだから”
じわりと視界が滲んだが、彼は私の願いを叶えただけだと言い聞かせグッと堪えた時だった。
「代わりに、この娼館を買おう」
「……、…………?」
一瞬脳内でハテナが飛び、もう一度言われた言葉を心の中で復唱して再度ハテナを飛ばす。
滲んだ視界が一瞬で乾き、むしろ乾きすぎて目をしばたたかせた。
「えーっ、と?」
「聞こえなかったか。この娼館を買うと言った」
「それは聞こえましたけど」
だが何度聞いても意味がわからず、ぽかんとしていると、私を後ろから抱き締めていた腕を緩め女将の方へと振り返る。
「ここの権利を買いたい。言い値で構わん」
「な、何を」
「そうですよ!? 一体何を言ってるんですか!?」
私と同じく呆然とした表情の女将に、これが普通の反応だと内心ちょっと安心した。
「ならば身請けはしない」
嫌だと言ったのは自分なのに、そうはっきりと告げられ傷付く自分に自嘲する。
“本当、私って馬鹿なんだから”
じわりと視界が滲んだが、彼は私の願いを叶えただけだと言い聞かせグッと堪えた時だった。
「代わりに、この娼館を買おう」
「……、…………?」
一瞬脳内でハテナが飛び、もう一度言われた言葉を心の中で復唱して再度ハテナを飛ばす。
滲んだ視界が一瞬で乾き、むしろ乾きすぎて目をしばたたかせた。
「えーっ、と?」
「聞こえなかったか。この娼館を買うと言った」
「それは聞こえましたけど」
だが何度聞いても意味がわからず、ぽかんとしていると、私を後ろから抱き締めていた腕を緩め女将の方へと振り返る。
「ここの権利を買いたい。言い値で構わん」
「な、何を」
「そうですよ!? 一体何を言ってるんですか!?」
私と同じく呆然とした表情の女将に、これが普通の反応だと内心ちょっと安心した。