悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
彼女は騎士服、それも一度見たことのある、ユクル公爵家の騎士服を着ていた。
状況が理解できず、ぽかんとしながらその令嬢とルミール様を交互に見る。
そんな私にくすりと笑った令嬢は、騎士の礼をして私の前に立った。
「未来の奥様にご挨拶いたします。奥様の専属護衛、エリンと申します」
「専属、護衛? というか奥様って……!」
「流石に抱き合いながら閣下を振るとは思えませんでしたので」
「!」
当たり前のように説明されたその言葉で、女将だって見ているのにまだ抱き合っていたことに気付き、私の顔が茹るかと思うほど熱くなった。
「は、離してください!」
「どうして?」
「ど、どうしてって」
「嫉妬しているサシャが愛おしいんだ、離せそうにない」
“と、突然上級者みたいな口説き文句言わないでよ……!”
まさか彼にこんなポテンシャルがあったとは。いや、もしかしたらただ素直な気持ちを言っているだけかもしれない。
その考えに思い至ると、もうそうとしか思えず、彼の腕から逃れようと突っ張った私の腕の力が抜けた。
「昨日はサシャの好む店を説明がてら案内していたんだ」
状況が理解できず、ぽかんとしながらその令嬢とルミール様を交互に見る。
そんな私にくすりと笑った令嬢は、騎士の礼をして私の前に立った。
「未来の奥様にご挨拶いたします。奥様の専属護衛、エリンと申します」
「専属、護衛? というか奥様って……!」
「流石に抱き合いながら閣下を振るとは思えませんでしたので」
「!」
当たり前のように説明されたその言葉で、女将だって見ているのにまだ抱き合っていたことに気付き、私の顔が茹るかと思うほど熱くなった。
「は、離してください!」
「どうして?」
「ど、どうしてって」
「嫉妬しているサシャが愛おしいんだ、離せそうにない」
“と、突然上級者みたいな口説き文句言わないでよ……!”
まさか彼にこんなポテンシャルがあったとは。いや、もしかしたらただ素直な気持ちを言っているだけかもしれない。
その考えに思い至ると、もうそうとしか思えず、彼の腕から逃れようと突っ張った私の腕の力が抜けた。
「昨日はサシャの好む店を説明がてら案内していたんだ」