悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
 一晩中離してくれない夜が五日も続いたことを暗に指摘され、私とルミール様が同時に目を反らす。
 どうやら彼にも僅かに羞恥心というものは残っていたらしい。
 
「あと」
「ま、まだあるのか?」

 更に質問しようと口を開くと、流石に驚いたのかルミール様が両目を見開く。
 その顔がなんだか可笑しくて私はつい笑ってしまった。

「これが最後です。どうして突然護衛をつけようと思いついたのですか?」

 彼がエリンと街歩きしていたのは、私たちが想いを通じ合わせる前だった。
 そして彼が『恋』という言葉の意味を知ったのは今日だろう。

 それなのに、彼が私に護衛をつけようと思い至った理由が気になったのだ。

「ずっと考えていたんだ。俺は誰に勃つのだろう、と」
「勃……っ」

“で、でも言われてみれば私と初めて夜を過ごそうと即尺チャレンジした時も、勃起はしていなかったわね”

 勃っていない状態で既にビックマグナムだったため忘れていたが、確かにあの時の彼は勃ってはいなかった。
 そして私と閨を共に出来るようになってからしたお見合い相手にも勃たなかったのだと言っていたことを思い出す。
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