悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
「んっ」

 それでもまだ不安を抱える私の唇を、噛みつくように塞いだルミール様。
 そのまま激しく口内に舌が入れられると、私の中の不安ごと食べられそうだと思った。

「昨日しなかっただけなのにな」

 ハッと荒い息を吐きながらぐちゅぐちゅと口内を掻き混ぜそんなことを呟かれると、グリッと固いモノが私の腹部に押し当てられる。

 「ッ」

 口付けだけでこんなになっているルミール様に、私の下腹部もきゅうっと反応した。

「今日は、こちらの部屋でしますか?」

 今私たちがいるのは、私の部屋だと案内されたルミール様の隣の部屋。
 この部屋と彼の部屋は扉一枚で行き来できるようになっているが、私ももう我慢できそうになかったのだ。

 そしてそんな私の気持ちを察したのか、ゴクリと喉を上下させたルミール様が私をそっと抱きかかえ、まっすぐベッドへと向かう。

“このベッドではシたことないわね”

 家でする時はいつもルミール様の部屋だった。
 娼館に帰ってからはいつも娼館だったので、ここにいる間使っていたベッドで改めて彼と、と思うと不思議な気持ちだ。

「考え事か?」
「あ、いえ」
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