悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
「舐めたり吸ったり!? お、俺は子供ではないぞ!」

“嘘でしょ!”

 まさか愛撫を知らないのだろうか。
 今日この部屋に入ってから何度目かの『嘘でしょ』と『まさか』に遭遇した私に、これは先が長いかもしれないと冷や汗が滲む。

「おっぱいは性感帯のひとつです。ここを刺激することで挿入部が濡れて、挿入しやすくなります」
「な、なに?」
「もちろんさっきみたいにいきなりでは濡れていても挿入は出来ません、解さないと痛いだけですしお相手の体を傷つけてしまいます」

“あと心も傷つけると思うわ”

 この付け足しは公爵様の心に深刻なダメージを与えそうだと心の中でだけ補足した。
 だが実際に口に出した分だけで十分伝わったのか、愕然とした様子で固まる公爵様に少しだけ安堵する。

 どうやら私のこの説明で自身の過去の行いを反省してくれたらしい。

「そうか、傷つけてしまっていたのか……。それは確かに捨てられてもおかしくはないな……」

“本当に根は素直なのね”

 悪徳公爵、なんてあだ名をつけた人は噂だけでつけたのだろう。
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