悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
「でもそれと同時に、貴方だって傷付きます。身体的にもですが、拒絶されて否定されれば心だって」

“傷付かない人なんかいないはずだもの”

 きっと今まで逃げ去った令嬢たちを不憫に思う人ばかりだったはずだ。
 だからこそきっと彼は、こうやって娼婦を買い教えを乞うようになったのだから。

 だからせめて、私だけは。

「もう傷付かなくていいように、少しずつ覚えていけばいいんです」

 彼の傷が少しでも癒えるように祈りながら、そっと抱き締めたのだった。
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