悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
5.出来ることからひとつずつ
「俺が傷付かないように、か」
「そうです」
「そして相手も傷付けないように、だな」
「はい」
私の言葉を噛み締めるようにそう繰り返した公爵様の言葉を静かに肯定すると、さっきまでどこか体を強張らせ恐る恐る触れていた彼の手から力が抜け、小さく笑みを溢したことに気が付いた。
その笑顔を見てドクンと大きく胸が鳴る。
“こ、これがギャップというやつなのかしら!”
お姉様たちがよくお客様へと使う手法。
自身の虜にするための技を、まさか彼が自然と使ってくるだなんて!
“くっ、この童貞、恐ろしいわ……!”
動揺した私は慌てて脱いだ服を手繰り寄せて着直す。
露になっていた胸が隠れたことで少し落ち着いた私は小さく咳払いをし、その場の空気を仕切り直した。
「んんッ、それでは、初日の授業はここまでということで。公爵様、お疲れ様でした」
私がそう告げると、すぐに彼も体を起こす。
そんな彼に一礼し、退室しようとした時だった。
「そういえば、本物の夫婦のように、というのであればサシャも俺の名前を呼ぶべきではないか?」
そう言われてぽかんとする。
「そうです」
「そして相手も傷付けないように、だな」
「はい」
私の言葉を噛み締めるようにそう繰り返した公爵様の言葉を静かに肯定すると、さっきまでどこか体を強張らせ恐る恐る触れていた彼の手から力が抜け、小さく笑みを溢したことに気が付いた。
その笑顔を見てドクンと大きく胸が鳴る。
“こ、これがギャップというやつなのかしら!”
お姉様たちがよくお客様へと使う手法。
自身の虜にするための技を、まさか彼が自然と使ってくるだなんて!
“くっ、この童貞、恐ろしいわ……!”
動揺した私は慌てて脱いだ服を手繰り寄せて着直す。
露になっていた胸が隠れたことで少し落ち着いた私は小さく咳払いをし、その場の空気を仕切り直した。
「んんッ、それでは、初日の授業はここまでということで。公爵様、お疲れ様でした」
私がそう告げると、すぐに彼も体を起こす。
そんな彼に一礼し、退室しようとした時だった。
「そういえば、本物の夫婦のように、というのであればサシャも俺の名前を呼ぶべきではないか?」
そう言われてぽかんとする。