悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
「公爵様はお忙しいでしょう? でも本当に困っておられるようだから、少しでも役に立ちたくて私の知っている知識をまとめてみたのよ」
「サシャ様が公爵家のことを想ってくださっているのに、私ったら」
「ちょ、本当に私は気にしてないからね!?」
その琥珀色の瞳を潤ませるイレナに私の方こそ焦っていると、その異様な雰囲気に気付いたのか軽く扉がノックされて今度はシグネが入って来た。
「どうかなされ……、?」
泣きそうになっているイレナと青ざめる私を交互に見たシグネは、すぐに深く一礼しイレナの肩をポンと叩く。
「サシャ様が困惑なされています」
短いその一言で顔をあげたイレナに、私は「本当に気にしていない」と伝わるように全力の笑顔を向けた。
「サシャ様……!」
“えーっ、なんかイレナさんの瞳が気のせいか輝いて見えるんだけど”
買ったのが公爵本人だとはいえ、余所者の私に向けるような顔ではない気がするが、嫌われるより断然いいとそう自分に言い聞かせ私は彼女の表情には気付かないフリをした。
そんな事情など当然知らないはずのシグネが私へと濡らした冷たい布を差し出してくれる。
「サシャ様が公爵家のことを想ってくださっているのに、私ったら」
「ちょ、本当に私は気にしてないからね!?」
その琥珀色の瞳を潤ませるイレナに私の方こそ焦っていると、その異様な雰囲気に気付いたのか軽く扉がノックされて今度はシグネが入って来た。
「どうかなされ……、?」
泣きそうになっているイレナと青ざめる私を交互に見たシグネは、すぐに深く一礼しイレナの肩をポンと叩く。
「サシャ様が困惑なされています」
短いその一言で顔をあげたイレナに、私は「本当に気にしていない」と伝わるように全力の笑顔を向けた。
「サシャ様……!」
“えーっ、なんかイレナさんの瞳が気のせいか輝いて見えるんだけど”
買ったのが公爵本人だとはいえ、余所者の私に向けるような顔ではない気がするが、嫌われるより断然いいとそう自分に言い聞かせ私は彼女の表情には気付かないフリをした。
そんな事情など当然知らないはずのシグネが私へと濡らした冷たい布を差し出してくれる。