悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
“そんなに笑うことないじゃない!?”
さっきは褒めてくれたのに、と不満に思った私がお腹を抱えて笑い出す彼についムッとすると、笑いすぎて若干涙目になっていた。
「いらないならいいです!」
「いるいる! いらんなんて言ってないぞ!」
苛立ちを覚えるまま彼から指南書を取り返そうと手を伸ばすと、すんでのところで彼も指南書を持っている手を高く掲げて避けた。
「じゃあなんでそんなに笑うんですか!」
もう不敬だなんてコロッと忘れ、睨みながらそう言うと彼が眉尻を下げてふにゃりと笑う。
「まさかこんなに評判の悪い俺のためにこんなことをしてくれるだなんて思わなかったんだ。それでなくともサシャには無理を言っているのに、だ」
「評判は……、確かに全く悪くない訳ではないのかもしれませんけど」
“でも、私から見た彼は真面目で不器用で真っすぐだから”
「私には、悪徳なんて思えないですから」
「そうか」
そう短く言った彼の眼差しが温かくて、私の顔が再び熱を持った。
「ありがとう。今日はこの作ってくれた指南書を元に実践させて貰おう」
「あ、は、はい」
さっきは褒めてくれたのに、と不満に思った私がお腹を抱えて笑い出す彼についムッとすると、笑いすぎて若干涙目になっていた。
「いらないならいいです!」
「いるいる! いらんなんて言ってないぞ!」
苛立ちを覚えるまま彼から指南書を取り返そうと手を伸ばすと、すんでのところで彼も指南書を持っている手を高く掲げて避けた。
「じゃあなんでそんなに笑うんですか!」
もう不敬だなんてコロッと忘れ、睨みながらそう言うと彼が眉尻を下げてふにゃりと笑う。
「まさかこんなに評判の悪い俺のためにこんなことをしてくれるだなんて思わなかったんだ。それでなくともサシャには無理を言っているのに、だ」
「評判は……、確かに全く悪くない訳ではないのかもしれませんけど」
“でも、私から見た彼は真面目で不器用で真っすぐだから”
「私には、悪徳なんて思えないですから」
「そうか」
そう短く言った彼の眼差しが温かくて、私の顔が再び熱を持った。
「ありがとう。今日はこの作ってくれた指南書を元に実践させて貰おう」
「あ、は、はい」