悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
 私の知識は全て覗き見て学んだもの。
 お姉様たちがお客様へしていることや、お客様にされて声をあげていることを思い出し書き留めたのだ。

 だからこそ、『自分がされたら』どうなるかを彼からの愛撫で知る。

“私が翻弄されている場合じゃないのに……!”

 このままでは主導権を全て取られる。
 そう焦った私は、ビクビクと反応する体を無理やり引き剥がし彼の顔をキッと見上げた。

「次は私が耳攻めをします!」
「何故だ? 令嬢たちはそんなことしないのではないのか」
「もしする令嬢がいて、ルミール様があんあん言ったらその、えっと……き、興醒めだからです!」
「なに? 俺はサシャがあんあん言えば楽しくなると思うのだが」
「あんあんなんて言う人間はおりません!!」
「おい、言ってることが違……、ッ」

 私の主張に怪訝な顔をしたルミール様を無視し、彼の肩へと両腕を置いて身を寄せた私はそのまま彼の太股へと跨がり左の耳へと顔を寄せる。

 先ほどされたことを思い出し、耳朶を甘噛みするとルミール様が息を詰めたことに気が付いた。

“感じてくれた、のかしら?”
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