悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
 なんだかそのことを嬉しく思い、調子に乗った私ははむはむとゆっくり耳を縁取るように唇を動かし耳輪を唇で強く挟む。
 そのまま舌で先ほど唇でなぞったところを伝いつつ、ふっと耳へ息を吹き掛けた。

「そ、そんなやり方は指南書に書いていなかった!」
「実践とは時に発展するものです、どうぞお書き足しください!」
「くっ、指南書が不完全とは聞いてないぞ……!」
「早くしないと次の刺激に移りますよ」

 後から追記するよう私へ命令すればいいのに、私の言葉に従いベッドに置かれていた指南書へと手を伸ばす。そんな彼を追い詰めるように、くちゅりと耳穴へと舌を入れると彼の体がビクリと跳ねた。

「くっ、……ん」

“た、楽しいかも……!”

 興醒めだなんて言ったのはもちろん口から出た適当な誤魔化しだったが、確かに耳への愛撫は何が楽しいのだろうと本音では少し思っていた。
 胸への愛撫はわかりやすく尖ったりして反応を楽しめるが、耳にはそういった変化はない。
 だが実際にやってみると、私の舌の動きに反応し身を捩る彼を見るのが堪らなく楽しい。

“これ、他の部分もしたらどんな反応をするのかしら……!”
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