悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~

8.違う、絶対そうじゃない

「も、そんなにしたらふやけちゃ……っ」
「!? ふやけ……!?」

 ずっと胸ばかりをちゅぱちゅぱ吸われていたせいで思わず出た言葉だったが、どうやら効果は抜群だったようで慌ててルミール様が胸から顔を離す。

“あんなに最初は吸うことも舐めることも躊躇っていたのに”

 その事が信じられないくらい執拗な愛撫をされ、ぽってりと赤く腫れた先端はいまだにジンジンと熱を持っていた。

“それなのに、少し残念に思うなんて”

 自分の心のままならなさに苦笑していると、指南書に視線を落としていたルミール様がチラリとこちらの様子を伺っていることに気付く。

 そろそろ次に進むべきだろう。
 そう判断した私は、いまだに私の腕に絡まり自由を奪っていた夜着を外そうと体を捩る。

「すまない、絡まっていたままだったな」
「あ、いえその、自由を奪われるのは悪くなかったです」
「ふむ、サシャは縛られたいタイプなんだな、覚えたぞ」
「ぅえっ!? ちが――……」

“いや、そう思われている方がいいかも?”

 全処女が縛られたいと思われたら厄介だ。
 次の花嫁がその性癖を持っているとは限らない。
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