悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
 そしてそんな私の様子をどこか必死な形相で見つめながら指と、口を止める気がないルミール様。

「ここはどうだ? どうしたらいいんだ? 解すの概念は合っているな? その声はまさか痛みを堪える呻き声ではないな?」
「ううっ、んん――ッ、くっ」

“もうっ、もうっ!”

「ムーーーッドッッ!!」
「うわっ!?」

 我慢の限界に達した私が彼の手首をガッと掴み無理やり引き剥がす。
 その勢いのまま体を起こし、目をパチクリさせるルミール様をギロリと睨んだ。

「指の動きは悪くないです」
「おぉ、それは良かっ……」
「他は0点です!!」
「なっ!?」

 私のその言葉に驚愕の表情を浮かべるが、今回ばかりはキツく言わねばならないだろう。

「全ッ然だめです、体が解れるのと同じか、それ以上の勢いで心が冷えましたけどっ!」
「そ、そんな!」
「ショックを受ける権利もありません、当然ですよ! 何ですか、何度も何度も質問ばかり投げかけて!」

 いや、私は一応彼の閨係で師なのだから質問を投げるのはいい。
 また言葉攻めという概念も知っている。

“けど全てがズレてるのよ!”
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