悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~

10.会いに行ってもいいんですか

“最ッ悪のタイミングだわ!”

 まさか咥えている途中で寝落ちるなど、娼婦の恥である。
 あの後ルミール様……、いや、公爵様はどうされたのだろうか。

「か、噛んでないといいんだけど」

 そんな想像をしゾッと青ざめる。

 それにあの状態で眠るのは男性にとって辛いはず。
 寝ている相手と、というプレイはまだ教えていないので普通ならば自分で処理することになるのだろうが、そもそもその方法を彼は知っているのだろうか。

“知らないかも……”

 もしそうであれば、私はどれだけの苦行を彼に課したということになるのかと考え思わず頭を抱えた。

「っていうか、ここって」

 どう見ても公爵様の部屋である。
 私が寝てしまった後、どうやら彼は私を起こすこともせず寝かせてくれたようで申し訳なさが倍増した。

「おはようございます、サシャ様」
「あ、イレナさん」

 扉をノックし中へと入ってきたのはイレナだった。
 
「体調はどうでしょうか?」
「すごくいいです」

“体調は、だけど”

 残念ながらメンタルは自分のやらかしでボロボロだった、のだが。
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