悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
“適度な疲労感はあるけど、まだ眠くはないのよね”

 仮眠を取れば今晩呼ばれても大丈夫だろうが、眠気がないのに眠ることは難しい。

「というか、そもそも連続で呼ばれるのかしら?」

 跡継ぎを熱望しているということはゆっくり閨指導を求めている訳ではないだろう。
 きっと出来るようになればすぐに誰かと再婚し子作りに励むはず。
 であれば、この間のように仕事が押さなければ毎日呼ばれる可能性だってあるかもしれない。

“でもそれって、公爵様はいつ休まれるのかしら?”

 ふとそんなことが気になった。

「ねぇ、公爵様だって疲れるわよね?」
「それはもちろんですが……、あ、でもお体を鍛えられておりますので私たちよりずっと体力はあると思いますよ」
「え! 仕事もして鍛えもしてるの!?」

 にこりと告げられたその言葉にギョッとする。
 そういえば隣の領地と揉めた時、彼自らが剣を持ち相手を降伏させたという噂があったんだったなと思い出した。

“あの噂は本当だったのね”
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