悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
11.仕事に優劣などないのだから
「公爵様は……、!」
連れて来てくれたイレナの背中に隠れるようにしながら訓練所を覗くと、他の騎士と訓練をしている公爵様の姿があった。
“凄い、全然負けてないわ!”
強いのだろうとは想像していたが、まさか騎士と互角に戦えるレベルだったとは想定外で思わずイレナの背中から乗り出してしまった、その時だった。
「……サシャ?」
「!」
ふとこちらに視線を向けた公爵様が手を止め振り返る。
黒曜石のように真っ黒だと思っていた彼の瞳は、サンサンと降り注ぐ太陽光の下だと少し茶色がかることを知った。
一瞬その美しさに目を奪われていた私だが、すぐにハッとしイレナの背中へと隠れる。
「どうしよう、見つかってしまったわ」
「大丈夫ですよ。それよりほら、ルミール様のところへ行かなくていいんですか?」
「そ、そんなことを言われても……」
“娼婦が閨以外の場所で近寄って本当に大丈夫かしら”
どうしてもその不安が私の頭を過り、もごもごとイレナの後ろに隠れたまま躊躇っていると、まるで私の不安なんて些細な事だったかのように近寄ってきた公爵様が、当たり前のように私へと手を差し出した。
連れて来てくれたイレナの背中に隠れるようにしながら訓練所を覗くと、他の騎士と訓練をしている公爵様の姿があった。
“凄い、全然負けてないわ!”
強いのだろうとは想像していたが、まさか騎士と互角に戦えるレベルだったとは想定外で思わずイレナの背中から乗り出してしまった、その時だった。
「……サシャ?」
「!」
ふとこちらに視線を向けた公爵様が手を止め振り返る。
黒曜石のように真っ黒だと思っていた彼の瞳は、サンサンと降り注ぐ太陽光の下だと少し茶色がかることを知った。
一瞬その美しさに目を奪われていた私だが、すぐにハッとしイレナの背中へと隠れる。
「どうしよう、見つかってしまったわ」
「大丈夫ですよ。それよりほら、ルミール様のところへ行かなくていいんですか?」
「そ、そんなことを言われても……」
“娼婦が閨以外の場所で近寄って本当に大丈夫かしら”
どうしてもその不安が私の頭を過り、もごもごとイレナの後ろに隠れたまま躊躇っていると、まるで私の不安なんて些細な事だったかのように近寄ってきた公爵様が、当たり前のように私へと手を差し出した。