悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
「では買い物などはどうだ? もちろん費用は公爵家に付けてくれて構わない。ここに居て貰っているのも日中時間が空いてしまうのもこちらの都合だからな」
「流石にそれは……」
「何故? 好きなだけ欲しいものを買えばいいのに」

“そんなこと出来ないってば!”

 そもそもそこまで欲しいもの自体もない。
 物欲がないというより、人様のお金で自由に買い物をするという発想が庶民にはないのだ。

「いきなり買い物しろって言われてもすぐには思いつきませんし、あまり高いものはちょっと」
「そういうものか? 俺の知っている令嬢は皆そんなものだったが」

“そりゃお貴族様と比べられたらね!?”

 若干偏見も混じっているだろうが、彼の妻足る令嬢たちのように高位貴族であれば、贈り物を貰うのも貢がれるのも当然だと思っているのかもしれない。
 あと、欲しいものも値札なんて見ないだろう。

 そしてそんな彼女たちの真似を私がすれば一気に破産だ。
 そうならない為に、欲しいものは厳選し手持ちのお金と相談しながら買わねばならない。

「それに人様のお金を持ち歩くのは気が引けますので」
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