悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~

13.臨時実習を開始します

「これとか凄く可愛いですよ!」
「なるほど、確かにこう、可愛いと言えなくもないかもしれない」
「無理しなくていいですよ……」

 着替えた勢いのまま路地を進み、市井まで出た私たちは外に置かれている商品を次々に眺めながら歩く。
 どうしても庶民向けのお店になるため、彼の見慣れないものが多いのか終始不思議そうな顔をしていた。

「あ、こっちのは中に小物が入れられるようになっているみたいですね」
「何? それ自体も置物なのにか?」
「猫の置物ですけど、箱になっているんです」
「つまり他人の目を欺くための……」
「子供用です」

 穿った見方をする公爵様の手を引き隣のお店へと目線を移す。
 次の店は可愛らしい調理道具が並んでいた。

「あ、このお鍋、柄が森の絵になっていますよ!」
「なんだと? 鍋に絵柄を入れてどうするんだ、厨房担当しか見ないだろう」
「庶民はこのまま食卓に並べることもあるんですよ」
「な、なに……!? いや、だが確かに鍋のまま持ち込めば長時間保温出来るか?」
「楽だからです」

“これは身分差を感じるわね”
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