えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「それだけではありません、先ほども言った通り、私には加護が……なかったのです」
「加護って、必要?」
「えっ」
 
 貴族ならばあって当然の加護。
 遥か昔に与えられたとされるそれらの力は、天からの恵みであり少しでも強い加護がある者との婚姻が望まれるのは当然のこと。

 その為加護のない私は、それだけで落ちこぼれの欠陥品なのだとそう思っていたのに。

「加護なんてなくても、ぶっちゃけどうとでもなるよ」
「えっ、えっ」

 ぎゅっと硬く握りしめていた私の手を覆うようにして殿下に手を握られる。

「コンタリーニ家の加護属性は土だったね。加護があれば何ができるのかな」
「土の加護は、大地の恵みにより骨が少し強いです」
「筋肉でどうとでもなるね」

 さらっと返された言葉に唖然としてしまう。
 
「火の加護を持っていると火傷しづらくなるけど熱いものは熱いし、水の加護は泳ぐのが少し早くなるらしいけど泳ぐ機会はそもそもそんなにない。風の加護は少し耳がいいらしいけど、聞こえなかったら聞き返せばよくない?」
「そう、言われれば……?」
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