えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 火の加護にそんな効果はない。
 そして今は太陽も沈み、肌寒い状況だ。

「まさか熱!?」

 ハッとしてララの額に手を当てると、予想よりずっと熱を持っていて愕然とする。

「いつから……っ」
「別に、今日のお出かけが楽しみで昨日寝れなかったとかじゃないわよ」

 何故今まで気付かなかったのかと思うほど、フン、と顔を逸らす彼女の頬が赤い。
 きっと寝不足と極度の緊張から体調を崩してしまったのだろう。

“ここにいれば安全だけど”

 だがここにいれば、いつかは見つかってしまうかもしれない。
 それに見つからなくてもいつ救助が来るかもわからないのだ。

「こんなところに居させる訳にはいかないわ……!」

 ならいっそこの隙に馬車から出てララとふたりで逃げるのが正解かもしれない。
 方向なんてわからないが、なんかこう……指をペロッとしたら方向がわかるって本で読んだし!

「ここを出ましょう、ララ!」
「え、でも」
「救助だってきっと向かってるなら、私たちからも行って合流するのが一番早いです!」

 そう断言し、馬車の扉に手をかける。が。

「……え?」
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