えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 ガチャン、と鈍い音が響いただけで扉が開く様子はない。

「な、なんで?」
「鍵がかかってるのでは?」
「あ、そ、そういえば……!」

 さっき私たちが中にいることに気付かなかった誘拐犯たちが鍵を締めたことを思い出す。

「すみません、じゃあすぐに鍵を開けますね」
「えぇ」
「えーっと、鍵、鍵……って、外側からかけられた鍵ってどうやって開ければ……?」
「そんなの、外から開ければいいんじゃないかしら」
「そ、そうですよね。えーっと、じゃあどうやって外に出れば……」
「それは鍵を開けて……」

 そこまで話した私たちは、バッとお互い顔を見合わせる。

“私たち、閉じ込められてる~!?”

「そ、そんな馬鹿な!」
「そ、そうですわ。そんなことありえませんわ!?」

 ララも驚いて扉の方へやってくるが、外から締められた鍵を中から開ける方法がわからず私たちは呆然と開かない扉を見つめた。


「ま、まさかこんな弊害があったなんて」
「そうですね、安全なのは間違いないんですけど」

 サァッと一気に私たちの顔が青ざめる。
 これはもしかしたらとてもマズいかもしれない。
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