えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「まぁ、僕の持ってる光の加護と闇の加護は特別だけど――でもこれは元々直系の王族にしか発現しないし」

 加護を授かったとされる遥か昔ならもっとすごいことが出来たかもしれないが、色々な加護が掛け合わされ親から子へと引き継がれた今では強く加護が発現した人でもその程度の効果しかないのは確かだった。

「だから、加護がないことをそんなに卑屈になることはないよ。それに例えばなんだけど、僕と結婚して僕の子を産めば加護なしと全属性の加護で丁度いい塩梅の加護とか授かるんじゃないかな?」
「もう、殿下ってばまたそんな冗談を」
「いや、全然本気」

“励ましてくださってるのね”
 
 さっきまであんなに悲しく苦しかったのに、殿下の言葉に励まされた私は思わずくすくすと笑いを溢ぼす。

「確かに持っていないものや出来ないことを嘆いていないで出来ることを探せってことですね!」
「だからめちゃくちゃ本気だよ」
「で、殿下……」

 お兄様から少し不憫そうな声が聞こえた気がしたが、せっかくこうやって殿下が励ましてくれているのだ。
 盾にも影にもなれず加護もなかったことを嘆くのはもうやめようとそう心に誓う。
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