えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 一気に頬が熱くなり、そのあまりの羞恥に視界が滲んだ。

“私はなんてはしたないことを!”

「可愛いね、ルチアは」
「も、やだ……っ」
「大丈夫。触り方を教えてあげるね」

 焦って手を離そうとするが、その前に私の手をジルの手のひらが覆い、言葉通りまるで教えるようにゆっくりと胸が揉まれる。

「まずは全体を揉んで……」
「う、んっ」
「すぐに強くはしないで。感度を高めるように優しく、表面を掠めるようにこうやって触れる。うん、上手いね」
「あ……っ」

“自分の手なのにそうじゃないみたい”

 触れている感覚はあるのに、触れ方の主導権がないせいだろうか。
 まるで自分の手が自分の手ではなくなったような感覚にドキドキと心臓が早鐘を打つ。

 ジルが器用に私の指を動かし、膨らみ全体をなぞると服の上から与えられるその刺激がもどかしい。

「これ、なんか……っ」

 指の腹が先端を擦る度にピクリと反応していることも、その様子をじっと見つめられていることも私の羞恥を誘うが、それ以上にもっと触れて欲しかった。

「可愛い、ルチア。自分の胸を揉みながらそんなに見つめられると堪らなくなるな」
< 118 / 262 >

この作品をシェア

pagetop