えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「くっ、娘の警戒心が無さすぎる」
「諦めた方がいいんじゃないかしら、コルネリオ」
「カロリーナ……」
「お義母上の言う通りです、お義父上」
「それに二人は婚約者同士なんだし」
「それはまぁ、そうなんだが……やはり父親としては複雑というか何故今二対一なんだ?」

 ちらりと母から向けられる意味深な視線で昨日のことが連想された私の顔が少し熱くなる。
 
“バレてる、のよね”

 いや、ジルが朝私の部屋から堂々と出て来た時点できっと色々バレているのだろう。
 家族みんなに昨晩のことを知られていると思うと何故かいたたまれない気持ちになるが、だが悪いことをしているわけではないのだと平然とした顔を作り彼を援護するつもりで口を開いた。

「お、お母様の言う通りです。確かに初めて挟んだので上手くは挟めませんでしたけど、私とジルは現在一応は婚約中の身ですしっ」
「あ、ルチ……ッ」
「……挟んだ?」
「?」

 何かまずいことを口走ったのか、さっきまで余裕の表情だったジルの整った顔が僅かに歪み、項垂れていた兄が半眼のまま顔を上げる。

「つまりナカには挿入れてないということか?」
< 127 / 262 >

この作品をシェア

pagetop