えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
“まさかララに何か……!”

 慌ててその手紙を開封すると、昨日の件での今日の調子を窺う文章からはじまり最後には会って話したい旨が書かれていた。

「これ、お友達からの遊びの誘いなんじゃ」

 いや昨日の今日だ。何か新事実がわかり情報を共有しようとしてくれているのかもしれない。
 だが新事実ならばジル経由が最も早く確かだろう。

“私、友達って今までいなかったから初めてだわ”

 まだ外出することに少し不安はあるが、昨日の恐怖はジルが夜ずっと側にいてくれたお陰でダメージは少ない。
 誘拐された時もひとりではなくララと一緒だったことも大きいだろう。

「いい連絡だった?」
「はい、お母様。フラージラ公爵令嬢からのお茶会の誘いでした。行ってきてもいいですか?」

 流石に外出を止められるかと思ったが、母がにこやかに頷く。

「ちゃんとウチの護衛も連れて行きなさいね。あと迎えにはエミディオも向かわせるから一人では帰らないように」
「えっ」
「はい!」

 一瞬戸惑った声が兄から上がったものの、それ以上拒否するような声は出なかったので私は訪問する旨の返事を書いたのだった。

 ◇◇◇
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