えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 一緒に朝食を食べ終えたジルを見送ったあと、侍女の助けも借りて首までレースで隠れたドレスへと着替えた私がコルティ公爵家へと向かうと、ララが出迎えてくれる。
 
 そのまま彼女の案内でガラスで出来た温室へと向かった私たち。
 今日は私だけしか呼ばれていないらしく、明るい光が降り注ぐ温室には私とララのふたりだけだった。


「まずは、互いの無事に感謝いたしましょう」
「はい、そうですね」

 昨日のことを引きずってか、お互いの表情が少しぎこちない。
 だが『ぎこちない』で終わっているのは、助けてくれると信じられたからだ。

 だからこそあの場面でも希望を持っていたし、そして現に私たちは無事助け出された。

「ララは怪我とかありませんか?」
「地面へ転がり落ちた時に少し打ったくらいよ。ルチアは?」
「私も同じです」

 まだ痛むが、問題なく全身も動くので骨などに問題はないだろう。

“もし私に土の加護があれば、この打ち身も痛くなかったんだろうなぁ”

 なんて思うが、ないものはないのだから仕方ない。
 ジルの持つ加護は確かに特別だが、他の加護は些細なものだからと割り切った。

 
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