えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「……今日はわざわざ来てくれて感謝するわ」
「いいえ、ララに会えて嬉しいです」
「えぇ、私もよ。実は今日は貴女に伝えたいことがあったの」

 苦笑するかのように眉尻を下げたララの形のいい赤い唇が弧を描く。
 そして彼女が意を決したように真顔になった。

「私、フラージラは、ジラルド様への想いを諦めることにするわ」

 そしてその真剣な表情に釣られて気を引き締めた私に告げられたのは、恋の終わりを宣言する言葉だった。
< 131 / 262 >

この作品をシェア

pagetop