えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「いいのです。最初からわかっていましたし、あれだけハッキリと見せつけられれば逆にスッパリ諦めがつくってものですわ」
「でも」
「私がいいと言ったらいいのです。それに相手が貴女で良かったわ、だって私、ルチアのことも好きなんですから」
「ララ……」

 そう言い切ったララの表情は、確かにどこか吹っ切れているようにも見えた。

「ところで、なのですが」

 私たちの間に流れた感度的な空気をゴホンと咳払いで仕切り直したララが、突然前のめりになる。

「ルチアのお兄様についてお伺いしたいわ」
「え、兄ですか?」
「えぇ!」

“急にどうしたのかしら”

 もしかしてジルの相手として我が家の家族構成とかが気になるということだろうか。
 家柄的には侯爵家で、ララの家より家格は劣るが高位貴族の一角ではあるし、コンタリーニ家は王家の盾として有名でもあるし決して不自然ではないはずなのだけれど。

“まさか肉壁の婚約者だってバレたんじゃ”
 
 その可能性にドキリとしつつ、彼女の勢いに圧倒された私は影も担っていることは別としても他はそもそも隠すことでもないのですぐに頷いた。
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