えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「えぇっと、我が家は代々王家の盾として王宮第一騎士団に努めることが多くて、父も騎士団長でした」
「つまりお兄様もゆくゆくは騎士団長に?」
「なれるかはもちろん兄の努力次第ですが、目指していることは確かです」

 私の回答にララが「まぁ」と両手をパチンと合わせる。
 兄の今後は私のジルの婚約者という役目においてプラスになるらしい。
 
 どうやらこのまま認めて貰えそうだ、なんて私が安堵した瞬間だった。

「婚約者はいるのかしら」
「ぅえっ!?」

“それって、やっぱり私が本物の婚約者ではなく肉壁の婚約者だってバレてるってことよね!?”
 
 このタイミングでそんな返しが来たのだ。
 どう考えてもジルに本物の婚約者がいるのか聞かれているとしか思えない。

 いや、もしかしたら肉壁の任務を終えた後の私の次の婚約者を聞いている可能性もある。

“どっちのパターンだったとしても、ここで認める訳にはいかないわ……!”

 くっ、とドレスのスカートを握る手に力がこもる。
 いくら友人になったとはいえ、この任務はまだバレる訳にはいかないのだ。

 私は全力でしらばっくれなくてはならない。
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