えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 今度こそはという自信があったのだが、あっさりとそう切り捨てられてきょとんとした。

「いい線いったと思ったのに……」
「もしお前にそう見えたんだとしても、多分違う。あれはそうだな、『そう思いたい』だけのやつだ」
「思いたい?」
「お前と殿下を心から応援したいんだろ」
「応援……」

 それは、私にはもう次の人がいるから、気にしないでという彼女なりの後押しなのかもしれない。

“ララ……”

 その可能性を聞かされた私が俯いていると、ポンッと頭を軽く叩くように撫でられる。

「こういうのは誰が悪いとかないだろ。ルチアが気にする必要はない」
「……えぇ」
「そういえば、予定より早く迎えに行った件だが」

 きっとしょんぼりしてしまった私を励ます為だろう、突然兄が話題を変えた。

「王城から緊急伝令だ」
「緊急伝令?」
「あぁ。殿下が何者かに襲われた」
「そんな!」

 その新しい話題の内容に全身から一気に血の気が引く。

“ジルが襲われた!?”

「ぶ、無事なんですよね……っ!?」

 ガタガタと震え出す私を励ますように、兄がゆっくり頷く。

「無事だ」
「ほん、とに? 怪我とかは」
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