えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「うんっ!? 見つけてる! 真実の愛はとっくに見つけてる!」

“加護のあるないに関わらず、殿下はこの国唯一の王子で王太子だわ”

 何をせずとも自国他国問わず色んな令嬢が群がってくる。
 そんな状態ではきっと真実の愛なんて見つからないのだろう。

 だが婚約者がいるという状況であれば、多少は牽制にもなるはずだ。
 それにこれでもコンタリーニ家の娘なのだ。
 加護こそなかったし騎士団試験も一次で落ちたが、物理的に近付く令嬢を弾くくらいは出来るはず。

「私に求められているのは壁、そう、肉壁ということですね!」
「ちが……」
「違いません!」

 侯爵家であれば身分の釣り合いは取れるし、ずっと一緒にいた私であれば変な勘違いなどせずちゃんと来るべき時に身を引ける。

 もちろんその日が来たと想像するだけでツキリと胸が痛むが、何も出来ない私だからこそ自惚れずちゃんとわきまえられると信じてくれているのだと思えば誇らしい気持ちにもなった。

「お任せください、立派な肉壁としての任務、必ずやり遂げてみせますから!」
「……わかった、じゃあ婚約者として今日からよろしくね」
「はい!」
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