えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「そうだね。戻らなくても困らないけれど、どこかに加護が戻るキッカケがあるかもしれない。それに犯人の目的がわからない以上、逆にこっちから仕掛けるのもいいと思うんだ」

 ジルが真剣な顔でそう言い、私も同意し大きく頷く。

「だから積極的に出掛けようと思うんだけど、ルチアも一緒に出掛けてくれるかな」
「はい! もちろんです、肉壁としての仕事ですね」
「いや、ただのデートだよ」

“私を拐った犯人のこともあるもの。もしかしたら同一犯の可能性だってあるわ”

 ジルの婚約者を消し、その間にジルと既成事実を作る。
 そう考えればすべての辻褄が合うように思えた。

「それに目立つ行動をしていれば相手からアクションがあるだろうし」
「そうですね、誰の狙いなのかはわかりませんが、籠っていて突撃されるよりも人目のある表に出ている方がいいのかもしれません」

 ジルの言葉にも説得力があり、なるほどとすぐに納得する。
 それに外ならば堂々と護衛もつけられるし、このタイミングで接触してくる相手が犯人の有力候補だ。
 攻撃は最大の防御というやつかもしれない。
 
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