えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「もちろんつけるよ、ルチアに何かあれば大変だからね。ただあまり表立ってつけると相手が接触してこない可能性もあるから、基本は隠れてつけようと思う。気分だけでも二人きりで満喫したい」

“犯人の炙り出しも兼ねているんだもの”

 ちゃんと考えているジルに感心した私は、そんな彼の足を引っ張る訳にはいかないと気合いを入れたのだった。


 そんなこんなで着いた孤児院。

「お兄ちゃんだー!」
「元気にしてたかな?」

 王城の馬車だと目立つので少し離れたところで降りた私たちが歩いて向かうと、ジルに気付いた子供たちが嬉しそうに駆け寄ってくる。

 懐いている様子で彼が何度もここを訪問していることに気付き少し驚いた。

「ジルは何度も来ているんですか?」
「あぁ。もちろん現状を把握したいってのが一番の理由ではあるけど……子供好きなんだよね」

 ふふ、と笑う彼の表情が穏やかで私も釣られて和んでしまう。

「子供って可愛いですもんね」
「うん、僕とルチアの子はつい甘やかして女の子なら一生嫁にやらん! なんて言っちゃうかも」
「あはは、ジルってば~」
「本気」
「もう~」
「最初から最後まで本気」
 
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