えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 対して私の口から出る反論はすべて私がそうであって欲しいというただの願いなのだ。

「それでも、ララは……」

 ララは、何なのだろう。
 自分で言っていてそれ以上の言葉が出ない。

“親からの圧力という可能性もある……”

 乗り換えるはずの馬車が最初から無かったのなら、目的地はあの場所。
 そこで私を亡き者にして、一緒に被害者になってもいいし、人目のないあの場所で私を消して「最初から乗っていなかった」と証言してもいいのだ。

 コルティ公爵家の馬車からコルティ公爵家の令嬢が出てくるのは当たり前。
 そして彼女だけが出てくることも、決しておかしなことではないのだから。

“もし二人きりになったタイミングで私を消すように指示をされていたのなら……”

 ララがジルを慕っていたことは有名な話だ。
 その想いに付け込む何者かの意志が働いてもおかしくはないだろう。

 ――それでも。

「私はやっぱりララを信じたいです」

 だって彼女は体を張って私を守ろうとしてくれた。
 能力の劣る私を真っ直ぐ見てライバルだと認めてくれた。
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