えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~

3.肉壁令嬢の初任務!

「あらあら、これはまた……凄いわね」

 屋敷に届いたいくつもの箱を見てお母様が思わずそう声を漏らす。

“私も驚いたもの”

 それは殿下から贈られたプレゼントの品々だった。
 中身は靴やアクセサリー含むドレス一式。

「もうすぐ殿下の婚約者として出る初めての夜会だもの。気合を入れておられるんだわ」

 殿下と私が婚約したという話は、なんと私が頷いたあの日のうちに国中へと広まっていた。
 もちろんその噂の発端を担い、すぐに広まるように操作したのは王家の影である母の力である。

“そんなに急いで広めなくてはならないほど殿下は困っておられたのね”

 ずっと近くにいたくせにそんなことにも気付かなかったことを後悔しながら改めて届いたドレスを見る。

「殿下の髪色と同じ淡い金糸で紡がれた繊細な刺繍に、殿下の瞳のように色んな色彩を放つオパールのアクセサリー……」

 施された刺繍も、純白のドレスが金色に見えるほど縫い込まれており母の言うように『凄い』仕上がりだ。
 しかもアクセサリーはデザインを変えて何種も届いている。
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