えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 柱の近くであまり人目につかない場所ではあるが、あくまでも会場内であり視線だってもちろん感じるが、さっきのように囲まれることはなかった。

“さっきの出来事で少し警戒されているのかしら?”

 いつも穏和なジルからあんなに低い声色が出たことにみんなも驚いたのかもしれない。
 だが私も、少しさっきの件を引きずって無条件に笑顔を振り向く気分じゃなかったので、むしろラッキーだと思うことにした。
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