えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「ドレスのベースが黄色ではなく純白ってところがまた……殿下の執着を感じるわね」
「そうですね、汚さないか心配です」
「私は娘の鈍感さを心配すればいいのか殿下の執着を心配すればいいかわからないわ」

“とうとう肉壁として初めての任務なのね”

 王家の盾にも影にもなれなかった私に与えてくださった私だけの役目。
 いつか殿下が本命を見つけられるまでの期間限定だとしても、密かに慕っていた殿下の婚約者になれたのだ。
 だからこそ、この仮初の婚約者という仕事を全力で全うしようと私は心に誓ったのだった。


 そしてそんな決意から数日。
 実質婚約者のお披露目パーティーとなる夜会の日はあっという間に来た。

 エスコートはもちろん婚約者である殿下がしてくれることになっているのだが、その殿下といえば時間に合わせて迎えに来てくれるのではなく、まだ準備もままならない朝から我がコンタリーニ家へとやってきて優雅に朝食を共にし、現在は私の侍女と一緒にアクセサリーを選んでいる。

「何故……」
「僕は婚約者を大事にする質なんだ」
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