えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~

23.今だけは貴方を独り占めしたい

「さっきは庇ってくれてありがとう」
「いや、私は嫌味を言うくらいしか出来なかったし」

“むしろ解決したのも庇ってくれたのもジルの方よね”

 お礼を言われるようなことは何ひとつしていないせいで少し気恥しく目線を彷徨わせていると、ふっとジルが笑みを溢した。

「凄く格好良かったよ」
「それは……ジルの方こそよ」

 ここに到着した時はまだ気まずかった私たちを温かな空気が包む。
 まだ若干ギクシャクしているが、穏やかに話せていることにホッとした。

「ドレス、ありがとう」
「着てくれて嬉しい。どんなドレスでもルチアには似合うだろうけど、僕の贈ったドレスを着てくれなかったら嫉妬してたかも」
「相変わらずジルは口が上手いわ」
「本心しか言ってないんだけどね」

 いつものような軽口を交わした私たちは、端に設置されていたソファへと腰を下ろす。
 一瞬沈黙が流れ、そしてゆっくりとジルが口を開いた。

「……コルティ公爵家が怪しいという僕の意見は変わらない。ここ二週間調べた結果も、空気がおかしかったことは確かなんだ」
「はい」
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