えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 ジルと会えなかったこの期間、彼はララの家のことを調べてくれていたのだろう。
 そしてその結果も、あの孤児院へ行った日と変わらずその結論に至ったことに心が沈む。

“でも、あの時より冷静に話を聞けているわ”

 突然ララの家の名前が出て動揺してしまった時とは違い、この二週間で私にも心構えが出来たのかもしれない。

“それに、ジルならきっとララが怪しいと調べたのではなく、ララが潔白だという前提で調べてくれた気がするもの”

 疑い、怪しいところを調べるのではなく、アリバイがないか、行動の理由が他にあったのではないかと彼女が関与していない前提で調べてくれたのだとそう思う。
 もちろん調べる内容に変わりはないが、それでもきっとそうだったんじゃないかと私はそんな気がしていた。

「ただ、フラージラ嬢が関与していたかはわからないんだ。彼女は何も知らされずただ利用されただけかもしれない」
「はい」
「その、結果としてルチアを悲しませることになって……」
「ジル」

 俯くジルの肩にそっと頭を乗せると、一瞬ジルの肩がビクリと跳ねる。

「ありがとう。ちゃんとジルの気持ちも優しさも伝わってるわ」
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