えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~

24.希うその想い

 連れられたのはすぐ近くの休憩室。

「本当は僕の部屋に連れて行きたいんだけど、ちょっと遠いから」

 そう言いながら後ろ手でガチャンと鍵をかけたジル。
 そんな僅かな刺激にすらもゾクゾクと快感が体を巡り、全身が火照って仕方ない。

「ジルっ、ん、熱い……っ」
「大丈夫、大丈夫だから」

 まるで宝物のように丁寧に私をベッドへと下ろしてくれるが、その優しさが逆にもどかしかった。

“どうしよう、耐えられないわ”

 触れて欲しい。
 はしたないとわかっているが、何度か触れられた時に感じたあの快感を今感じたい。

 その衝動に頭が支配された私は、ほぼ無意識に自らドレスの胸元を緩めた。

「だいじょ……ぶ、じゃ、ないの、熱くて……ジル、たすけて」
「ル、チア」
「触れて、おねがい……」

 恥ずかしいなんてもう感じなかった。
 それどころか、私の体を見てゴクリと喉を鳴らすジルに言い表せないほどの恍惚感を覚え、両腕を伸ばし彼の頭へと腕を回した。
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