えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 僅かに唇を重ねてすぐに離れると、離れた私の唇を追いかけるようにジルがすぐに口付けてくる。

 食むように唇を甘噛みし、開いた隙間へと舌を滑り込ませたジルが私の舌を絡め取った。

「好きだルチア、僕の愛しい宝物」

 くちゅくちゅと小さな音を立てながら何度も舌が私の舌を扱くように口内で蠢く。
 私の全てを奪うように激しく口内が蹂躙されると、その心地よさに互いの熱い吐息が混ざり合った。

“気持ちいい”

 必死に舌を伸ばすと、私の舌を唇で挟み固定したジルが強く吸う。
 もういっそ溶けて同じになってしまいたい。

「ずっと昔から僕には君だけ、これからも変わらない」
「ん、私も。私もジルだけ」

 ぎゅっと彼を抱き締めると、彼も私を抱き締める力を強くする。
 彼から与えられるこの強さも、熱も、そして想いも嬉しくて私の胸の奥から温かい気持ちが溢れた。

「大好き、ジル、だいす――ひゃんっ!」

 口付けの合間に愛の言葉を囁きながらぎゅうぎゅうと抱き締めていると、彼の服で体が擦れて甲高い嬌声が漏れる。

“あ、ダメ、また体が”
< 187 / 262 >

この作品をシェア

pagetop